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何か面白い事

日々の面白い事を書いていきます。

麻雀について

 先輩に誘われ麻雀をやってきた。普段同期とやる時は自前の牌を使って俺の下宿でやるのだが、先輩方は雀荘に行くのが基本である。俺は雀荘に行った事が一度も無かった。果たして雀荘とはどういう所だろうか。俺の雀荘に関する知識は阿佐田哲也著「麻雀放浪記」から得たものしかない。そこは暗く、埃と男たちの殺気が煙草の煙と一緒になってくすぶっている空間。……と、いうのはあくまでイメージであり、実際同期と麻雀打つときはゆるい雰囲気で関係ない雑談をしながら、という感じなのでそんな殺伐とした雰囲気のものじゃないだろうと俺は思っていた。そう思っていたのだ。

 先輩に案内された雀荘はまず、暗かった。他に客はおらず、店長のオジサンが聞く、今日のニュースを伝えるラジオの音が妙に場違いに聞こえた。そう、ここは世間から隔離された場所なのだと、入って直感した。各々の席に着く先輩方と俺。牌が配られる。俺が今頼れるのはこの手牌だけだと感じた。何時も陽気に笑ってる先輩が黙っている。その目つきは何時もの優しく、どこかおどけたようなものではなかった。正に獲物を狙う獣の目つき。他の先輩達もそうだった。どの目からも普段は伺えない”獣”が伺えた。俺はツモの後ちょっと考えて牌を捨てるが、先輩達は瞬時に牌を捨てる。それ故ゲームのリズムが俺の所でぶつ切りになってしまう。焦るな、空気に飲まれるな。落ち着いて。落ち着いて……。まずは俺がタンヤオで上がった。気を引き締め、東二局へ。

 まずは雀荘での先輩達の雰囲気が俺のイメージしていた麻雀放浪記っぽいそれで驚いた。が、雀荘も中々麻雀放浪記っぽくて驚いた。まずはトイレである。それが店の外、薄い木の板で作られた通路の先にあり、これがまた微妙に臭いのだ。しかも寒い。う~ん、それっぽい。

 そして店長のオジサンも中々それっぽかった。まず何を言っているか分からない「のーもっなー?うにゃらうにゃ……」何か聞かれてるのは分かったが、何を聞かれたか分からない。しかし、先輩方はすぐさま「コーヒー」「紅茶」「コーラ」と返した。オジサンの言っている事が先輩達は理解できるらしい。流石。一体どういうメニューがあるかもわからない俺はとりあえず先輩と同じくコーラを注文した。するとオジサンは「コーヒー!ああうんにゃらうにゃうにゃコーヒー、うにゃうにゃ」……と、また俺には聞き取れない事を言う。しかし、先輩達には伝わったようだ。お互い顔を見合わせ、紅茶を頼んだ先輩が「じゃ、僕コーヒーで」と言った。なぜ注文を変えたのか。紅茶を切らしていたのか? ……後で聞いたところ「コーヒーは二杯からしか作れないから、コーヒー頼むなら二人コーヒーにしろ」と言われたそうだ。客の注文に注文をつけるオジサン。それっぽい。

 「でもま、安いししゃーない」と先輩方は言っていた。ここの雀荘は一時間百円。相場が分からない俺は先輩方に聞いてみると「普通は一時間四百円だなぁ」と応えた。そう、破格も破格である。あぁ、それっぽい。

 午後六時から十一時までの五時間で三半荘やったが、俺はドベだった。最初は調子よく、呑気に初めて触れた自動卓のハイテクさに感動したりしていたが、後半になるにつれて散々になっていった。俺は思うのだけど、ツキっていうのは当然良い時と悪い時がある。自分のツキの良し悪しを判断して、良い時は押す、悪い時は引く。麻雀とはそういうゲームだと思っている。(理系にあるまじき事を言うようだけど)後半はツキが悪いのに押してしまった感じがする。次回はもっと自分のツキを気にしながら打とう。

 家に帰り、自分が着ていた服から煙草の臭いがする事に気づいた。今日は普段と違う一日に出来た、と少し良い気分になれた。次は勝ってやろう。